介護休暇制度で事業主が気を付けるべきこと
介護休暇制度は育児・介護休業法において定められており、事業主は同制度の申請を拒否できません。同時に、事業主は介護休暇の取得を理由に、従業員を解雇することもできないのです。それ故、就業規則に介護休暇に関する定めがなくても、事業主は取得の申請は無条件に受領する必要があります。但し、労使協定で介護休暇の対象外と定めた従業員に対しては、申請を拒むことが可能です。加えて、育児・介護休業法では、介護休暇取得を理由とする降格や減給、賞与の削減等も禁止しています。企業のコンプライアンス的にも、当法律の規定を厳守することが重要です。
事業主は介護中の従業員に対して、事業の正常な運営を妨げない限り、残業させることはできません。厚労省の方針でも、その旨を就業規則などに記載するよう推奨されています。また、要介護状態の家族を持つ従業員は、時間外労働や深夜労働の除外を繰り返し申請できます。時間外労働の除外申請は1回につき1ヵ月から1年以内、深夜労働に関しては1ヵ月から半年以内の期間で認められています。但し、日々雇用の労働者は介護休暇を申請できません。また、入社1年目や所定労働日数が2日以下の従業員も、労使協定により申請対象外にすることが可能です。介護休暇中の賃金に関しては、法律的に支払いの義務は発生しません。
加えて、介護休暇には社会保険料の免除制度が適用されないので、従業員は健康保険料や厚生年金保険料を納める必要があります。従業員によっては会社のサポートが必要になるので、事業主として事前の準備が求められます。